【完】─片思い─

「…和?」

声がした方を見ると、紗季が立っていた。

その横には、東がいる。

「よっ。久しぶり」

「…久しぶり!」

あたしはいつもの作り笑顔で返した。

すると、紗季も東も一気に表情が曇った。

「デート?」

「ぁ、うん…」

紗季が気まずそうに返す。

「あたし、バイト探しててさ〜! 良いバイト、知らない?」

「ぁ、俺の家の近くのコンビニが探してた」

「ほんと?! どこ?!」

「えっと…」

東は丁寧にその店を教えてくれた。

「ありがと!」

「…うん」

表情は、暗いまま。

あたしは、胸が痛かった。

久しぶりに会えて、嬉しいはずなのに…。

すごい、苦しかった。

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