【完】─片思い─
第7章 変わらないもの
「…母さんは?」
「…仕事」
家に帰れば、いつものように直樹がソファでゲームをしている。
いつもと違うのは…母が、夕飯をつくっていないこと。
いつもなら、テーブルにラップをかけて置いてあるのに…。
「また…?」
「そろそろ、転勤…だってよ」
「…そっか」
あれから、母の顔を見た事はなかった。
もうすぐ…息子の誕生日だっていうのに。
あたしは唇を噛み締め、自分の部屋に向かった。