【完】─片思い─
全部読み終わると、あたしの目からは大粒の涙が溢れ出した。
だんだんと、手紙に染みていく。
すると、ガチャと玄関が開く音がした。
「…姉貴、読んだの?」
「ごめんね、直樹…ごめん。あたし、何も見えてなかった…!」
直樹のキモチも、母さんのキモチも。
あたし達を…子供を、捨ててなんかなかった。
あたしは強く、直樹を抱きしめた。
「ごめんね…ごめんね…。ありがとう、ありがとう、直樹」
あたしは、ずっと「ありがとう」と「ごめんね」を繰り返した。