【完】─片思い─

「和が、東のことを好きなのは」

「…」

「…でも、ちょっと期待してたんだよ」

「…っ」

「ちょっと、だけ…本気で俺のこと好きなんじゃないか、って」

「りゅう…」

我慢していた涙が溢れ出すようだった。

あたしは流の目の前に腰を下ろした。

「…夏休みの最終日、本当に…手に入れたんだと思った。けど、その反面…不安もあった。

海、行った時のこと…」

そうだ…流は、知ってたんだ…。

あぁ…あたしは、何度、流を傷つけたんだろう。

流は…ずっと、ずっと辛かったはずなのに…。

あたしは…見て見ぬ振りをしてたのかもしれない。

流の笑顔に、甘えていたのかもしれない。

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