【完】─片思い─
「優輝、今までごめんね…? あたしが、我が侭ばかり…」
「…」
「ごめんね、ごめんね…」
優輝は、あたしの頭を優しく撫でるだけだった。
以前のように、抱きしめてはくれないんだ…。
そう想うと、体が冷たくなった気がした。
「…サンキュ、紗季」
「…うん」
「俺、紗季が好きだったから」
「あくまで…過去形なんだね」
優輝は小さく頷いた。
そんな優輝を見て、あたしはそっと微笑んだ。
「がんばって!」
あたしはそう笑顔で言って、優輝の横を通って、走った。