【完】─片思い─
彼がいないだけで、こんなにも違うんだ。
少し、驚いた。
そう思っていると、資料室のドアが開いた。
あたしはバッとドアの方に目を向けた。
「あれ? 稲実だけか?」
「…今、トイレに行ってます」
「そうか。お、片付いたじゃないか。もう、帰っていいぞ。東にも伝えとけ」
「はい」
そう言って出て行った後、あたしは資料室を出た。
「…はぁ」
もう、ため息なんて何回目??
「…はぁ」
たぶん、今日はため息の日だ。
そんな事を思っていると、家に着いた。