あなたの瞳



卓斗はにやりと笑って、言った。


「ま、優姫と会ってもお前だってフラれるかもしれないしな。徹平は俺が、敵わなかった相手なんだから。」

「………優姫が今、好きな奴か。」

「優姫は、あいつと出会って立ち直ったんだ。笑顔が、戻った。俺には、出来なかった。」

そう話す卓斗の顔は辛そうだった。

卓斗の腕を、私は思わず握った。

「直……。」

「あのな、卓斗。優姫は、絶対そんなこと思ってないと思うぞ。俺はいなかったけど……お前達が優姫の支えになってたんだってことはわかる。お前達がいなかったら……そう考えるとゾッとする。」
< 111 / 121 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop