あなたの瞳
わかってるよ。
このままじゃ、だめ。
私は………
「直!」
廊下でうずくまって泣いていた私の耳に聞こえたのは、大好きな卓斗の声。
「………ごめん。ごめん、直。」
卓斗は、私の頭を撫でながら、何度も謝ってた。
「何を、謝ってるの?」
私が聞いても、『……ごめん。』以外の言葉は返ってこない。
卓斗は、私が卓斗を好きなこと、気付いてる。
でも、私の気持ちには応えられないから。
だから、言わない。
逃げてた、卓斗は。
私の気持ちから。
それでもいいと思った。
ふられたくなかったから。
私も、同じだったから。