あなたの瞳




わかってるよ。
このままじゃ、だめ。
私は………




「直!」

廊下でうずくまって泣いていた私の耳に聞こえたのは、大好きな卓斗の声。

「………ごめん。ごめん、直。」

卓斗は、私の頭を撫でながら、何度も謝ってた。

「何を、謝ってるの?」

私が聞いても、『……ごめん。』以外の言葉は返ってこない。



卓斗は、私が卓斗を好きなこと、気付いてる。
でも、私の気持ちには応えられないから。
だから、言わない。




逃げてた、卓斗は。

私の気持ちから。



それでもいいと思った。
ふられたくなかったから。

私も、同じだったから。
< 26 / 121 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop