あなたの瞳
「私、大勢の人がいるところ苦手だから。」

「そっか。じゃ、俺もここにいようかな~。」



そう言ったきり、お互い何も話さなかった。
でも、何だかその時間は優しく流れていて、落ち着いたんだ。とても。






「こうやって、のんびりするのもいいね!落ち着く。」

私とおんなじ気持ちなんだと、ちょっと嬉しかった。



「でも、俺は周りに人が大勢いる場所も好きだな。」

「………どうして?」

人が沢山いると煩わしいと、思ってた。

「楽しいから!」



あっけらかんと、卓斗は言ってのけた。
本当に、軽いノリで。
でも、風が通り抜ける音が、私の中で聞こえたんだ。
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