先輩に片思い
好きになった日
唖然としたまま
教室へと歩いた。
「どこ見て歩いてんだよ。」
先輩の言葉が頭から離れない。
あんな事言う人
だったなんて...
(でも思い返して見れば私、
先輩の事全然知らない...)
私は初めて先輩を知った日
の事を思い出していた。
――去年の春
私は初めて委員会に入った。
先輩は副委員長だったけど一緒に何か仕事をする事もなく、私は歩登先輩の存在すら知らなかった。
あの日私はいつもより早く委員会の教室についた。
教室にはまだ誰も来ておらず
とりあえず席についた私は特にすることもなかったので
机の上にうつ伏せになった。
どれぐらいたっただろうか...
肩を揺すられ
私は飛び起きた。
なんと寝てしまっていたのだ。
見回すと
がらんとした教室。
目の前には男の先輩。
彼はまだ夢心地の私に
「今日の委員会は中止だって。」
と表情を変えずに言った。
私は恥ずかしさと驚きで
黙っていると
「ははっ...マジ寝かよ」
と言って笑った。
その笑顔が私の頭に
焼き付いて離れなくなっていた。
結局、その時は一言も言葉を返せなかった。
私はその日から
その人のことを目で
追うようになっていた。
それが歩登先輩だ。