先輩に片思い
心の声
「よだれたらして
気持ちよさそうに寝てた」
「うそ!!」
「うん、うそ」
先輩はまた、
私を指差して
ケラケラと笑った。
...そんなに
笑わなくてもいいのに。
そして笑いが
おさまったかと思うと
先輩は再び窓の外に
視線を移した。
「...俺、青空より
夕日が綺麗な
この空が好き。」
「....」
「この風景が見える
この教室も
好きなんだよなぁ。」
少し寂しそうに笑う
先輩を見て、
私の心の中に小さな穴
が開いたような...。
そんな感覚に襲われた。
やだ...なに...これ
「卒業...してほしくない」
「ん?」
「えっ?」
「いやいや、今何か
言わなかったか?」
もう遅いと
分かりながらも
慌てて口を押さえる。
え、私なにを口走った?
「ご、ごめんなさい」
「なんで謝るんだよ」
「あ、すみません...」
「変な奴」
また私を見て先輩は笑う。
つられて私を笑う。
「でも...
こうやって誰かと見るのも
たまにはいいもんだな!」
夕日ではなく私に
向けられる優しい
笑顔に心臓が跳ねた。
辺りは綺麗なオレンジ色。
私の顔が赤いという事に
先輩はきっと気づかない。
今、この空が青空
じゃなくて
良かった...。