その一瞬を、焼き付けて。-短編集-
『俺は、お前を手放すつもりなはい。』
『…でも私、もう長くは…』
『関係ない、お前はこれから先、俺と結婚して世界一幸せな花嫁になるんだ。』
『……え?』
『そして世界一幸せな妻になり、世界一幸せな母親になる。』
『そ、それって…』
『お前はずっと、俺の隣で笑って過ごすんだ。』
涙が止まらなかった。
ただただ、泣いてしまった。
嬉しさと悲しさが混ざり合いながら。
『だから生きろ。お前は絶対死なない。』
長く生きられないと知った日に
深く絶望した
何よりもあなたと
離れることが
とても苦しかった
それでもあなたは
私を抱きしめてくれた
それだけで私は
世界一の幸せを感じた
やっぱり、あなたは
私にとって世界一の人でした。
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