その一瞬を、焼き付けて。-短編集-
『じゃあさ、あれは?今やってる映画の主題歌とか。』
詳しく説明され、幸いにも聞いたことがある曲だったので弾いてみた。
『凄いね!!俺、音楽はよく分からないけど、いつも君のピアノ聞いてて綺麗な音色だなって思っていたよ。』
そんな事を言われるだなんて予想もしていなかったので驚いた。
その半面、凄く嬉しかった。
『ありがとうございます。』
この一言で精一杯だった。
あなたは笑顔を見せてくれて、私はあなたに恋をしました。
それからたまに来て話したり、ただピアノの聞いたり、たわいもない時間を過ごした。
この時間が凄く好きだった。
あなたと話せば話すほど、惹かれるばかり。
でも、この想いは伝えられなかった。
伝えて今の関係が壊れてしまうのが、怖かったから。
でもね、苦しいの。
あなたが他の人と一緒にいるところを見ると、辛くなる。
あなたに逢えない日は、寂しくなる。
そんな毎日は嫌なの。
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