ONE
その後僕は…
彼女が気になってしかたなかった…
「……」
「拓海?何ボーっとしてるんや?」
「あっ…すまん」
もう一回…、会いたいなぁ
「って…来てもうた……」
『〜〜♪』
聞こえてきた声…
「あの…」
『ハイ…。』
『…何か?』
「いや…その…綺麗な声やなぁ思て…」
『…ありがとうございます。歌…好きなんですか?』
「まぁ…一応歌ってるから」
『えっ…すごい…。』
「そんなことないで〜君の方が上手いで!あっごめん。拓海です。」
『加奈です。ここの病院に入院してます…。』
「この前も歌ってたよなぁ?」
『聞いてたんですか!?』
「…聞きました。」
『じゃぁ…見たんですよね?あれ……私ね、もうすぐ歌えなくなっちゃうんですよ』
「………」
『眼も生まれつき見えないのに…神様はとことん意地悪なんだなぁ…』
ほら…またあの時みたいに切ない表情……
「なぁ…歌、一緒に歌わへん?」
『えっ…?』
そんな切ない表情に僕は、恋に落ちたんや……