【BL】最終回送まで…
始まり
学校に着くには早過ぎる時間帯にバスに乗るのが僕、木梨 優斗の日課だ。
勿論今日も同じ時間にバス停に立ってバスを待つ。
学校の登校時間は8時半まで。僕がバスに乗るのは6時10分発のもの。乗車時間は15分程度。
何故僕が朝早くからバスに乗るのかと言うと、その時間のバスでなければ会えない人が居たからだ。
視界の隅からバスが見えた。
僕は今日も、胸を高鳴らせた。
プシューッと、廃棄物を勢い良く外気に晒すバスさえも愛しく思えた。
―――良かった。誰も座ってない。
僕は一目散に、かと言って焦らず平然を装い、その席に座る。
一番前の右側の席。
それが僕の【特等席】だ。
いつもこのバス停からは僕が一番に乗車するため、前のバス停で乗る人が居ないと、そこはもうエンジンの音が潤しい天国。
そして、そんな天国の日が今日だった。
ドキドキが止まらない。