【BL】最終回送まで…
ふと気付くと、いつの間にか車内には人が入っていた。
どれだけ花枝さんに見入っていたかを思い知らされ、一人顔を赤くした。
<ドアが閉まります。ご注意下さい。次は……>
機械音が鳴ると、プシューッとまたバスは廃棄ガスを吐いた。
そしてバスは走り出す。
運転中の花枝さんの目は真剣で、僕はその目が大好きだった。
ハンドルを切る手つきも好きだ。
こんな風に花枝さんの後ろで一生懸命な姿を見ることが幸せだった。
それ以上を望める事の出来ない僕は、それだけで幸せだった。
高校を卒業して、このバスを乗らなくなるまでは、ずっと片想いをするつもりだ。
卒業後は青春の中に閉じ込める。
あってはいけない恋だから。