空の上の上

妹が生まれて1年ぐらい経ったある日。

おばあちゃんは息を引き取った。

わたしは看取ることが出来なかった。


―ババ、ね。


お父さんが苦しそうに言った。

幼いわたしにも、良くわかった。


“ババは、死んじゃったんだ…”


自然と涙が出た。

ヒック、ヒック、と声がした。

その声が自分のものだと気づいたのは、


―お姉ちゃん、なんで、そんなに泣いてるの?


弟が不思議そうに、わたしを覗き込んだ。


―えっ?わたし、そんなに泣いてる?

―わっかんないのー?馬鹿だね、お姉ちゃん。


そう言って、弟は笑った。

弟は“死”がわからない。

まだ、幼稚園生なのだから、当然だろう。

でも、その時の私はそんなこと考えていられなかった。

だから、怒鳴ってしまった。


―あんたのが、よっぽど馬鹿!ババが死んだのに、なんで、笑ってんの!


幼いわたしは、

辛くて、
辛くて、
辛くて…

もう、どうしようもなかった。


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