おんりー☆らう゛
「…ちょっとあんた――――」
奈々が言い返そうとしたとき…
♪キ━ン コ━ン カ━ン コ━ン♪
「あ…」
チャイム鳴っちゃった!
男は息を吐いて力を緩め、あごで屋上の出口を指しながら、さっきよりはおだやかな声を出す。
「おら。とっとと行けよ」
「…あんたも行くの!」
グイッ!!!
また寝転ぼうとした男の腕を引っ張って、そのまま立たせる奈々。
「ああ?!離せよ!!!おい!」
男は驚きながら腕を振り払おうとするが、奈々は両手でしっかり握りしめて引っ張る。
「離さないー!!!」
「…うぜぇ…」
片目をひきつらせながら、反対方向に力を入れて抵抗するが、奈々は負けじと両手で引っ張り続ける。
そのまま、奈々は男を引っ張って教室に戻った。
―――ガラッ
「浦安!!遅いぞお前…って……池谷?!」
ザワザワ…
奈々の後ろの人物を見たのと、2人で帰って来たことに対しても驚き、ざわめく教室。
「奈々?!」
「マジかよあいつ!」
真美と龍雅も顔を青くする中、奈々はそんな空気に構わず、男を引っ張る。
「ほら!早く!」
「離せよ!!!」
2人が入り口でもたついている中、静かに先生が口を開いた。
「…浦安。なんでそいつ連れて来たんだ。」
「……は?」
奈々は、耳を疑った。
ちょっと待って?
この人…先生だよね?
今、なんて…
「そんな奴連れて来なくていい!どうしようもない奴なんだから…」
「んだと…「なんでですかッ?!」
気がついたら、先生にキレようとしていた男の言葉を遮って、1歩前に出ていた。