おんりー☆らう゛


「あいつはなぁ…。昔から自分に起きた辛いことは…ぜってぇ自分からは誰にも話さねぇんだ!!!誰にも心配かけたくねぇ…辛い思い…苦しい思いすんのは自分だけでいいって…」

「どれだけ苦しくても…悲しくても…絶対自分からは言わないの!!!自分より相手のことを一番に考える優しい子だから!!!」

「だから…あいつの辛いことは…俺らが気づいてやらねぇといけねぇんだ。自分からは言わねぇから…どんどんあいつの中に溜まっていって…あいつはいつか潰れちまう!!!」

「………」





裕毅と美奈が、奈々のことを聖に訴え続ける。

聖は左下を向いたまま、動かない。




「奈々のこと…あたし達は何年も見てきたから、奈々が我慢してる時や…辛そうな時は大体わかる…。わかろうとしてるから…」

「でもお前は…そんな奈々のことを自分からわかろうとしてたか?」


「………」


「一番あいつのことわかってやらねぇといけねぇのは…彼氏のお前じゃなかったのか!!?」


「………」





聖はずっと黙っていた。





「ねぇ…聖…。本気で…奈々と別れたいって思ったの?」

「………」

「答えてッッ!!!」




黙っていた聖の目から涙が零れ落ちる。




「…思ってるわけねぇだろッ…」
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