おんりー☆らう゛
「・・・・・・・・・」
朝が来た。
聖はずっと黙って携帯を見つめ続けていた。
―――――トントン。
聖の部屋のドアが叩かれた。
聖は重い足取りで、ゆっくりとドアへ向かい、戸を開けた。
―――――カチャ・・・
「…よぉ。」
そこには裕毅が立っていた。
「なんだ?寝てなかったのか?」
「…のん気に寝てられっか」
「…だいぶ考えてたみたいだな」
「・・・・・・・・・」
「…奈々なぁ。」
聖がガバッと顔をあげた。
その様子を見て、裕毅は小さく肩を落とす。
なんだよ…気になって仕方ねえんじゃねーか。
「昨日は自分の…奈々の家に帰ったってよ。」
「……そーか…」
「んで、俺らももう帰ろうと思うんだけど」
「…俺も帰る」
「そーか。じゃー準備しろよ。奈々の分は美奈が…」
「いや、俺がする」
「…ん。じゃー頼んだぞ」
仁は自分の部屋の戻っていった。
聖も、ドアを開けたままくるっと向きを変えて、部屋に入っていった。
そして、自分の荷物を整理してから、奈々の荷物に取りかかった。
奈々の私物を持つたびに、フワッと奈々の匂いが飛び交う。
そのたびに聖の頭には、奈々の辛く苦しんで泣いている顔が浮かぶ。
奈々は・・・ずっと1人で辛い荷物を背負っていた。
自分になにが起こっても・・・周りの人には言わない。
辛いのは、自分だけでいい
そんな想いをずっとしてきた奈々
俺はその奈々の気持ちを・・・
辛かったこと、悲しかったことを、気づいてやれなかった
俺の一時的な感情で、取り返しのつかないくらい、奈々を傷つけちまった…
聖の目には、涙が絶えず流れ出した。
ボタボタと頬を伝って・・・床の上に落ちる。