おんりー☆らう゛






「俺は社長でなぁー…ひぃっく…金ならいくらでもあんぞぉー?いくらだ?いくらほしいんだ?」

「金なんかじゃありません!!俺…奈々が好きなんです!!奈々に会わせてください!!!」

「しつけぇなぁ…会わせねぇっつっただろ!!!」

「お願いしますッッ!!!」




聖がその場に土下座して、頭を下げた。


土下座なんて…
今まで一度もしたことがなかった。



元々プライドが高い聖は、絶対にしたくないと思っていた。



でも今は…プライドなんかより…奈々だ。
奈々のことしか、頭になかった。





「お願いします!!!奈々に会わせてください!!!」

「しつこいんだよ!!!」




父が聖を蹴った。

それでも聖は頭を上げない。その場から離れなかった。





「お願いしますっ…!!!」

「しつけぇなぁ…」




父が聖に暴力を続ける。






――――――――――奈々の部屋




「………」



奈々は力が全て抜けたような感覚になっていた…







「~~~~~!!!」

「~~~~~~~~~!!!」




外から聞こえてくるもめ合いの声。



…外…お父さんと…誰…?





奈々は目を瞑って声を聞いた。





「―――――!!!」




だんだん…言葉がはっきりしてくる。




「―――――お願い―――す!!!」





男の…人…?




「奈々に――せて―――さい!!!」




…あたし…?



奈々の胸の奥で…なにかが騒ぎ出した。



なんだろ…知ってる…この声…





自然と奈々の目から涙が零れ落ちた。


この声……






「―――奈々に会わせてください!!!」




「―――――聖…」


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