おんりー☆らう゛
「ずっとあんなんだったし。慣れてんだよ」
慣れてるって…
…慣れてないじゃん。
その顔。
作り笑顔にしか…見えないよ?
「親父とおふくろもさ。俺のこと相手にもしねぇんだよ。どうしようもない息子だって。だから俺、ずっと独り暮ししてて…ずっと一人なんだよ。だからどーってことねぇよ」
「ッッ…そんなのおかしいよ!!!」
…下を向きながら、気づいたら、そう叫んでいた。
人の話だから、他人がとやかく言うべきじゃないと思うけど…
"他人"という言葉で、終わらせたくなかった。
この人を、1人にさせたくなかった。
「は?」
男は、不思議そうに奈々を見る。
奈々も顔を上げて、男を見つめながら、話し続ける。
「どうしようもないって……どうしようもなくないよ!!ヒドイよそんなのっ…あたし、許せない…」
「…はっ(笑)」
奈々の言葉を聞いて、男が笑った。
奈々はびっくりして、男を見つめる。
へ…?
なんで笑ってんの…?
「なんでお前が熱くなってんの」
「だって…」
自分でもわからない。
なんでこんなに、今日初めて会った人のために、感情的になって叫んでいるのか。
でも、恥ずかしくなんか、なかった。
あたし、間違ったことは言ってないよ
「そんな真剣に俺のこと思ってくれた奴なんてよ…今までいなかったぜ?」
「え……」
「サンキューな。なんかすっきりした」
そう言って…男が少し嬉しそうに笑った。