おんりー☆らう゛
「こ―――きぃ…どこぉ…?」
しばらくして、奈々は歩き疲れて、屋台を抜けてちょっと奥にあった階段に腰を下ろした。
「疲れたぁ…」
奈々は空を見上げる。
その場所は明かりが少ないため、星がかなりたくさん見ることができた。
「綺麗な星…。もうすぐ花火も始まっちゃうのに…聖どこ行ったのよぉ…バカバカァ…」
「……奈々さん…?」
突然名前を呼ばれ、バッと声がしたほうを見る。
「―――ッ?!誰?!」
「僕ですよ僕〜」
うわッ……出た…
長い前髪の下で、ニヤッと笑った薄気味悪い男…
こいつは、隣のクラスの秀という男。
以前、奈々のことが好きでストーカーをしているという噂がたち、気づけば、いつも誰かに見られていたような気がした。
それは、こいつがいつも、影から奈々のことを見ていたのである。
そのときは、聖が怒ってくれて、秀も逃げていったから、もう話しかけられることはないと思っていたのだが……
「お一人ですかぁ…?何してるんですかぁ?」
俯き気味で、見える口元だけニヤニヤさせる秀。
ゆっくりと、奈々に近づいてくるため、奈々もゆっくりと後退りする。
「…あんたには関係ないでしょッ!どっか行って!」
「池谷くんは…」
「うるさいよッ!!」
「はぐれたんですかぁ?一緒に探しましょうかぁ…?」
そう言って、ニヤァ…と笑い、奈々の腕に手をかけるが、奈々がそれを振り払う。
「やめてッ!触らないでッ!」
「浴衣可愛いですねぇ…」
「あっち行ってよぉッッッ」
それでも近づいてくる秀が気持ち悪くて後ろに下がり続けていると、トンッ…と、何かにぶつかった。