おんりー☆らう゛
「け…喧嘩すんなって」
目の前で喧嘩が始まって、2人の顔を交互に見ながら苦笑いする裕毅。
でも、2人は睨み合ったまま。
「お前だってさっき散々バカバカ言っただろーが!」
「今は違うでしょーが!聖のバカぁ…」
ああっ!?
違うってなんだよ!!
つーかさっきからバカバカバカバカ言いやがって!!
あーそーか!わかったよ!!
「はぃはぃすいませんでした!俺がバカでしたぁー」
聖は、子供のように、わざと憎たらしい口調で奈々に言う。
聖の雑な対応に、奈々は一瞬目を見開いて、唇を噛み締めた。
そして、体に力が入り、フルフルと拳を震わせる。
奈々は聖に近寄って耳元で叫んだ。
「こぉきのッ…バカぁぁぁぁぁ!!!」
「――――ッッ!!!」
キィーンッ!!と、耳が痛くなるほど叫ばれて、聖は片目を塞ぎ、耳を塞ぐ。
奈々はそのまま、聖に背を向けて走った・・・
「…あーぁ」
「…んだよ畜生ッ!耳いってぇ…」
裕毅がため息混じりで呟く隣で、聖はイライラと頭をかきむしる。
美奈は、去った奈々の方を見て、ため息をついたあと、呆れた顔で聖を振り返る。
「どっちもどっちね」
「俺も悪ぃのか?!」
聖が不満そうな顔で、ガバッと美奈の顔を見た。
俺は悪くねーだろ!
といったような顔をしている聖を見て、またまた深いため息をつく。
「今の言い方はだめでしょ〜。…詳しい事情は知らないけどさ。聖がおちょくって…奈々がバカって言ったんでしょ?どっちもどっちじゃん。」
んあっ!?
ん〜〜〜〜確かに俺はおちょくったけどもだな!!
あいつがバカバカって……あ?
じゃあ先におちょくった俺が悪ぃのか!?
…いや!俺は悪気なんかねーし!
でも奈々はそんなことわかんねーか…
でもあんなにバカバカ言うかあぁああ!?