おんりー☆らう゛
「…もしもし」
1人の男が、勇気を出して、携帯に話しかけた。
案の定、返ってきたのは聖の怒鳴り声。
「あ゛ぁ?!誰だてめぇッ!!!」
本当に男がいたことによって、余計に頭に血がのぼる聖。
男は、息を飲んだが、それでも一呼吸してから話し出す。
「えッッ…とぉ…さっき奈々チャンをナンパしてた者っす…」
「あ゛ぁ?!」
「ごッ…誤解しないでください!!!あれから…奈々チャンに引きとめられて…それで…」
男は冷や冷やしながら話した。
聖は、黙ってそれを最後まで聞いていた。
最初はずっとイライラしていたが、最後には息をついて、意外にも穏やかな声で返した。
「……大体わかった。奈々とあれから会って…奈々が愚痴聞けとお前らを誘って…今おでん屋で酒飲んで食ってんだな?」
「そ…そーッす!よかったぁ…わかってくれて…」
男は心から安堵の声を漏らした。
「念の為聞くが…お前らはなんも手ぇ出してねぇだろなぁ」
さっきの声とは切り替わって、脅すような声に、男は携帯を片手に、ブンブン首を横に振った。
「そんなッ!なんも出してないっすよ!!!」
…まあ、さっき奈々が普通に話してた感じからして、こいつらは何もしてねぇか……
…にしても奈々の奴!
一体何考えてやがんだ?
そう思いながら、また息をついて、聖が話し始める。
「…そーか。今から行くから…そいつ抑えててくれっか?」
「は…はぃッ」
「んじゃ」
ピッ…
そう言って、聖は電話を切った。
ツーツーという音が聞こえて、男は携帯の画面を確認して、大きな息をついた。