おんりー☆らう゛



「………」



美奈が顔を伏せながら、黙ってその人物が通り過ぎるのを見ている。


その人物は…慚だ…!!!





「…行ったわね…」




美奈が息をついた後に、裕毅が美奈に問いかける。




「一体なんなんだ?」

「慚よ…」

「はっ??」




その言葉に、奈々が顔を引きつらせ、聖が身を乗り出す。




「―――――ッ!!」

「…慚…ってあいつかよ!!」




思わず大きな声を出す聖に、しーっ!!と人差し指を立てて黙らせる美奈。




「声がでかい!!!見つかるでしょ!!!」

「ほら…やっぱり怖い人が乗ってるぅ…」




奈々がうなだれるように頭を抱える。

聖は少し怖い顔をする。




「向こうはまだ気づいてねぇんだな?」

「…たぶんね。」


「ならいーけどよ…」




裕毅も息をついて背もたれにもたれかかる。




「やだ…なんで慚が…」





奈々が帽子を脱ぐ。

そして一瞬立つと…そこにはあの慚が1人で座っていた。





「奈々!座れ!」





聖が奈々を引っ張って座らせる。





「やだ…すぐそこにいるよ…」

「…見つかんないように…静かにしてなきゃ…」




4人はなるべく口を開かなかった。




――――――――――――――


気のせいか?奈々のよーな声…



慚は立ちあがって辺りを見渡した。






「…あ。」



「――――ッ…」





後ろを向いた和也と、前を向いていた奈々の目が合った。

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