おんりー☆らう゛



「ぁ…ぁ…」

「…どーした?」





奈々が帽子を深々と被り込む。

突然の奈々の異変に聖が心配していると、あの男の声が聞こえた。





「よーw皆さんお揃いでw」


「「!!!!!」」




奈々以外の3人が一斉に顔を上げる。





「あれー?龍雅と真美はー?」

「…あんたには関係ないでしょ」




美奈が慚を睨みながら、ボソッと言い返す。




「えー…最近なんか皆さん冷たくね?…なぁ…奈々。」





声が自分にかかり、ビクッと体を震わせる奈々。


隣にいた聖が慚を睨む。

そんな聖を見た慚は、やれやれと息をつきながら聖を見る。





「…おめぇは相変わらずだな…池谷。」

「…これ以上俺らに近づくな…小田切」

「はぁー?別におめぇらに用はねぇよ。奈々に用があんだ…」

「…ぅ…ぇ…」




奈々は顔を真っ青にして戸惑う。

怯えていて、声がうまく出せない。





「てめぇ…もう奈々に近づくなっつったろーが…」

和也 「はぁー?そんなの人の勝手だろ…奈々…お前は俺から逃げられねぇんだぞ…」




聖の言葉に怯むことなく、奈々を言葉で脅し続ける慚。

奈々は上を向けぬまま、体を小さく震わせている。





「じゃーな…」




奈々に向かって、満足そうに笑いながら去っていく慚。




「てんめぇ…このクソがぁ…」

「聖…今ここで暴れたらマズイ…」




裕毅に止められ、立ち止った聖の目の前で、慚は新幹線を降りていった…






「…まさかあいつに会うなんてね…」

「この先なんもなかったらいいけどな…」




奈々は、俯いたまま、何も喋らなかった。


聖は黙って、かすかに震える奈々の手を握った…


< 89 / 206 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop