おんりー☆らう゛
「ぁ…ぁ…」
「…どーした?」
奈々が帽子を深々と被り込む。
突然の奈々の異変に聖が心配していると、あの男の声が聞こえた。
「よーw皆さんお揃いでw」
「「!!!!!」」
奈々以外の3人が一斉に顔を上げる。
「あれー?龍雅と真美はー?」
「…あんたには関係ないでしょ」
美奈が慚を睨みながら、ボソッと言い返す。
「えー…最近なんか皆さん冷たくね?…なぁ…奈々。」
声が自分にかかり、ビクッと体を震わせる奈々。
隣にいた聖が慚を睨む。
そんな聖を見た慚は、やれやれと息をつきながら聖を見る。
「…おめぇは相変わらずだな…池谷。」
「…これ以上俺らに近づくな…小田切」
「はぁー?別におめぇらに用はねぇよ。奈々に用があんだ…」
「…ぅ…ぇ…」
奈々は顔を真っ青にして戸惑う。
怯えていて、声がうまく出せない。
「てめぇ…もう奈々に近づくなっつったろーが…」
和也 「はぁー?そんなの人の勝手だろ…奈々…お前は俺から逃げられねぇんだぞ…」
聖の言葉に怯むことなく、奈々を言葉で脅し続ける慚。
奈々は上を向けぬまま、体を小さく震わせている。
「じゃーな…」
奈々に向かって、満足そうに笑いながら去っていく慚。
「てんめぇ…このクソがぁ…」
「聖…今ここで暴れたらマズイ…」
裕毅に止められ、立ち止った聖の目の前で、慚は新幹線を降りていった…
「…まさかあいつに会うなんてね…」
「この先なんもなかったらいいけどな…」
奈々は、俯いたまま、何も喋らなかった。
聖は黙って、かすかに震える奈々の手を握った…