ちっぽけな世界の片隅で。
ページをめくる。
夢中で、読み進めた。
星の馬は、男の子をのせて、走り出す。
すごい勢いで雲をつきぬけ、かきわけ、地球を飛び立つ。
ふたりが走るのは、とてつもなく広い、宇宙。
ロッカーのまえに突っ立ったまま、わたしは、その話を読んでいた。
窓がしめきられた教室。
背中を、玉の汗がつたう。
何枚もページをめくって、あるページで、文章はとぎれた。
とてもていねいな字でつづられたその話は、完結していなかった。
とても中途半端なところで、尻切れトンボのまま、終わっていた。
『無限に広がる宇宙』
わたしは、すいこまれたようにずっと、その最後の文字を、見つめていた。