ちっぽけな世界の片隅で。


田岡は、タコみたいなすまし顔で、まわりを見渡して言った。


「ん?お前ら、まだ終わらないのかね?ん?」


心のなかで、ムッとしながら、つぶやく。

・・・わたしだって、シャー芯がなくならなかったら、もうとっくに終わってたし。


「田岡だまれ。まじウゼー」

「うーわー!山本に嫌われちゃったー!どうしよー!!」

「田岡くん!静かにしなさい!!」


本日二回目。

田岡はいつもにぎやか。気を抜いたらすぐにしゃべり出すから、毎回、必ず先生に怒られている。

さっきだって、球技大会の応援幕が、どうたらって。球技大会は、まだ先の二学期なのに。

耳に入ってきた話からすれば、田岡のクラスは円満なんだろうなぁ。いいなぁ。


選び出した一本の芯を、シャーペンにすべりこませる。


すべって、すべって、落ちていくわたしは。

すべり台の先が跳ね上がるのを、待つしかない。





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