ちっぽけな世界の片隅で。
──テスト返ってきた?
さっきの言葉を思い浮かべて、ため息。
どうだった?とか。きっと、似たようなこと、松尾先生にも言われるんだろうな。つぎの塾がゆううつになる。
一週間。長いテスト準備期間を経て、昨日、テストが終わった。
基礎や、定番問題なら余裕で解けるようにはしていたはずだったのに、出来はひどいものだった。
全体的に、今回のテストはハイレベルだった。
テスト前だけ詰め込んだ知識の付け焼き刃じゃ、とうていかなわない、難しさ。シャーペンの先は、動き出しては止まって。
辛い辛い。口やすめの水がなければ、解けないような問題ばかり。
先生たちの、作戦なんだと思う。
これからやってくる夏休みという長い期間をなまけさせないように、わざと難しい問題にしたんだ。
よく言えば愛のムチ。悪く言えば、性悪。
カレー皿のむこう。
テレビのなかでは、見たことあるようなオジサンオバサン、オバサンかオネエサンかわからない女の人が、おおげさな表情を作って、笑っている。
見たくもない番組を目にうつしながら、わたしはぼんやりと考える。