ちっぽけな世界の片隅で。
目を閉じたまま、わたしは、お兄サンに呼びかける。返事はないって、わかっているけれど。
勉強って、なに。子どもって、なに。大人って、ますます、なに。
ねえ、お兄サン。
大人になるには、ベンキョウと、レンアイもしなければいけないのですか。
ベンキョウひとつにしぼっても、わたしはうまくできないし。
ベンキョウはまだ、教科書を開いてノートをガリガリすればいいんだってわかるけれど、レンアイなんて、やり方すらわからない。
ジュウエンムイチは、ベンキョウだって、レンアイだって、わたしの先を行っている。
好きな子にどう接したらいいかわかりません──なんて、わたしの悩みに比べたら、ちっぽけじゃない。
わざわざ、投稿しなくってもいいじゃない。
あんなお悩み相談、聞く前に眠ってしまえばよかった。
サブバックの名前。ニハシノコ、が、本当の三橋八子になりそこねた、出来損ないの名前みたいに、見えてくる。
髪の毛が、ほおにくっついて、すごくうっとおしかった。
ワシャワシャとかき乱す。中途半端な長さの髪。
もし、ポニーテールにまとめるくらい長かったら、ジャキンと、根本からハサミで切ってしまいたかった。