ちっぽけな世界の片隅で。



木曜日。

塾に行ってみると、思った通り、松尾先生からこんな質問があった。


「テスト、どうだった?できた?」


ぜーんぜん!ダメだったー!!という声が聞こえてくるものだと思ったのに、意外や意外。みんなの反応は、そこまで悪くないものだった。

「まあまあかなぁ」とか、「中間よりマシだったよねぇ」とか。

そんなつぶやきを聞きながら、平静を保っていたけれど。

想像していたより、みんなができていたことに、内心ではガクゼンとした。


今回はむずかしかったから、だから、できなくて当然だった。そう思っていたのに。

自分のなかだけの評価では、なんとでも言い訳できるけれど。

他の人をふくめた、相対的評価を前にしてみれば、うんともすんとも言えやしない。


「八子ちゃんは?」


放っておいてくれればいいのに、松尾先生はしっかりわたしを見落とさずに聞いてきたから、みんなの答えをマネして、答えた。


「・・・うん。まあまあ」


そう言ったところで、返ってくるテストの点が上がるわけじゃないんだけれど。


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