ダサい恋人


千歳は半ば辛そうな顔をして俺を見る。


「………ん。」


目がうつろになっていてまともな返事が出来ないみたいだ……。



昨日の雨のせいだな。


やっぱり無理矢理でも送っていくべきだった。


俺が千歳の隣でうなだれていると、


「秘事間さん……。」


一人の男子が話してきた。


それと同時に集まってくる奴等……。


来るんじゃねぇよ……。


「秘事間さんだよね?」


「………」


声を出す気力もないのもあるが、バレたくないから何も言わないんだろう……。


「秘事間………。めっちゃ可愛いな……。」


なんて、1人の男子が呟く。


ふざけるな。


お前…今まで気持ち悪いだ、ダサいだって言ってたヤツが。




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