ダサい恋人
「馬鹿だな……。」
あたしは今、こんな事を呟く事しかできない。
自分のどうしようもない曖昧な行動を…反省する事しかできない。
勝美…大好きなのに……
大好きなのに……
「大好きなのに……」
目の前が滲んで、よく見えなくなる。
ふわっ………
「えっ……」
何かに優しく包まれてるような気がした。
この感覚…前にも感じた事のある衝動。
佐伯…?
また…佐伯が抱き締めてるの?
「佐伯尚?」
「―――…よ。」
ギュッと力を入れられた事で、抱き締められているっていうことを確信した。
それと同時に、佐伯が何か言った…。
よく聞き取れなかった…。
「ねぇ、もう一回言って。」
すると、佐伯は体を離して、あたしを見つめた。
佐伯の顔は、とても切ない顔をしていた。