ダサい恋人
あたし…
「勝美がいる…。」
「三野みたいに俺はお前を苦しませない。」
何の迷いもなく、真っ直ぐにあたしを見る佐伯…。
「好きなんだ。」
あたしは勝美がいる。
…勝美が大好きなんだ。
あたしもこの事は確実に迷いもない。
「あたしは…「返事はまだいい。俺、本気だから。」
と言って佐伯は先に教室へと行ってしまった。
苦しくない恋なんてあるのかな?
苦しませない恋の仕方なんて分からない…。
あたしは…そう思いながら、進んでいく佐伯を遠くなるまで、見つめる事しかできなかった。