ダサい恋人
俺は…真実を言った。
……俺は、千歳の大切さを言った。
小山が泣き続けてる中で、ガラガラとドアが開いた音がした。
「……勝美…。」
俺の名前を呼ぶ声は、一番聞きたかった、
……甘くて、優しい声。
それを考えるより先に、俺はぱっと振り返っていた。
「……千歳…。」
愛しい…千歳がいた。
「……小山さん…」
驚いている俺を横切って、千歳は小山の方に近づいた。
バシンッ……
……!
千歳が…小山の頬を叩いた。
小山が自分の頬を抑えながら千歳を見る。
千歳は一粒の涙を流している。
「あたしは…勝美が好きなの!!」
千歳が叫んだ言葉は、室内に隙間なく響いた。