ダサい恋人
あたしはこの気持ちを正直に佐伯尚に話した。
長い沈黙が続く…。
でも…その沈黙を破ったのは、佐伯尚だった。
「後悔すんなよ?」
「えっ…?」
「あの時、俺を振らなきゃよかったって後悔なんかすんなよ。」
眉を下げていてもくしゃりと笑う佐伯。
「……佐伯」
佐伯の言葉に、涙が滲み出てくる…。
「泣くんじゃねぇよ。」
切なそうに笑いながら頭を撫でる佐伯…。
それはあたしには慰めにならなくて、涙がこぼれてしまう…。
「ごめんね…あたし…」
「千歳は何も悪くねぇよ。謝ることじゃねぇ。」
……ただ、と佐伯が一言付け足した。
「千歳…逃げるんじゃねぇ。小山と伝えろ。」