ダサい恋人
資料室に近づいていくに連れて、胸の鼓動が早くなるのがわかる。
…でも逃げちゃいけない。
頑張らないと…。
小山さんに伝えないと…。
あたしは深く深呼吸をして資料室へ一歩一歩近づく。
誰かの泣き声がする…。
小山さん?
なんで小山さんが泣いてるの?
すると突然…誰かの声がした。
「お前は俺の顔が好きなんだろ?
千歳はダサい勝美でも好きになってくれたんだよ。
……アイツと俺がお前のくだらない嫌がらせで、別れるわけにはいかねぇんだよ。」
……この口調って
この声って…
勝美?
久々に聞いた勝美の声に、胸がきゅー、と締め付けられる。
あたしは意を決してドアを開ける。
……そして、あたしの疑問は確信へと変わった。
「……勝美…」
大好きな…
大好きな…
勝美がいた。