ダサい恋人



「帰ろ。」


そう言いながら、手を差し出してきた。



あたしは何の迷いもなく、その手に自分の手を重ねる。


……温かい温もりがあった。




勝美と手を繋いで、夜道を歩く。


昨日まで泣いてたのに…今日は笑ってる自分がいる。


「あ、そうだ。」


と空を見上げて勝美が何か思いついたみたい。



「何?」


……なんだろう?



「明日から、またダサ子に戻って。」


………はぁ???


「なんで!?」


せっかくスカートが短くなるまで成長したのに…。



「男が騒ぐから。」


「騒がない。…相変わらず、過保護な勝美は健在だね。」



不意にもため息が出てしまう。



「いいから、ダサ子でいろよ?」


「……はい。」

仕方がない。


ダサ子でも、勝美が隣にいてくれたら…それでいっか。



「ねぇ、勝美。」


「あ?」


「あたしがダサいからって離れないでよ?」


あたしの問いかけに、勝美は笑ってあたしを見た。



「当たり前だ。」



と、宣戦布告のキスをしてきた。






ダサいからとか…カッコいいとかそういう問題じゃなくて



中身が大切だと思う。


あたしは勝美と出会って、自分が見る世界が百八十度変わった。


笑って泣いて怒って、勇気を出してみたり。



外見がダサい恋人でも……



あたし達は



恋人だ。






――*End*――



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