ダサい恋人
「お前落ちるぞ?」
「えっ?」
「手。しっかり掴まってろ。」
勝美があたしの手を握り、腰に回す。
「…」
どこに掴まってればいいのかわからなかったから戸惑ったけど、腰に回せばいいんだ。
勝美の背中と顔がスゴく密着する……
意外と背中広いんだな。
「んじゃ、行くぞ。」
勝美がペダルをこいで、どんどんスピードが出てくる。
「勝美……ちょっと速くない?」
「お前が遅いから遅刻まであと10分しかないんだよ。」
えぇ!!
あたし…まさか早起き失敗?
いつもはクラスで一番なんだけどな……。
「ごめん。あたし…次はちゃんと起きるから……。」
「次って……またお前自転車忘れるのかよ。」
と笑う勝美。
そ、そうなんだけどさ…。