ダサい恋人


「お前落ちるぞ?」

「えっ?」


「手。しっかり掴まってろ。」

勝美があたしの手を握り、腰に回す。


「…」

どこに掴まってればいいのかわからなかったから戸惑ったけど、腰に回せばいいんだ。



勝美の背中と顔がスゴく密着する……


意外と背中広いんだな。



「んじゃ、行くぞ。」



勝美がペダルをこいで、どんどんスピードが出てくる。


「勝美……ちょっと速くない?」


「お前が遅いから遅刻まであと10分しかないんだよ。」


えぇ!!

あたし…まさか早起き失敗?


いつもはクラスで一番なんだけどな……。


「ごめん。あたし…次はちゃんと起きるから……。」

「次って……またお前自転車忘れるのかよ。」


と笑う勝美。


そ、そうなんだけどさ…。

< 52 / 444 >

この作品をシェア

pagetop