ダサい恋人
「あっ、お前これいる?」
兄貴がそう言って差し出してきた。
「………何これ?」
「映画。別れた女からもらった。ホラー☆」
へぇ。
ホラーねぇ…
「しかも二枚。女連れていい男の演技でもしてやれよ。」
「はぁ?女?嫌だね。」
なぜ女?馬鹿じゃねえの?
俺が眉間にシワを寄せて睨んでいるのをかわして兄貴はにっこりと笑った。
「お前だって気になる女ぐらいいるだろ?ソイツ誘えば良いじゃん。」
気になる女……?
「いねぇよ。」
「まぁまぁ、多分良いときに使えるから貰っとけ。」
と言われて映画のチケットを渡された。
はぁ……1人で2回行くか。
俺は財布の中に入れといた。