甘恋。
「ちょ…っ?亮治…!」
直樹と二人にしないでよ!
引き留める間もなく亮治はさっさと帰ってしまった。
直樹と…二人。
しーん…と沈黙が流れてしまう。
どうしよう…折角二人きりなのに。
渡すなら…今しかない…!
私は直樹に用意してたチョコの袋を掴んだ。
急激にドキドキと早鐘を打つ心臓。
どうしよう…行け、自分…!
差し出そう、と思っていた時…。
「僕にだけ…チョコくれない位、僕のこと嫌いなんだろうけど…さ…。」
「へ…っ!?」
見ると…直樹が今にも泣きそうな顔で私に紙袋を差し出していた。