rival
「あの……っ」
栗色ロングのふわふわの髪。
目はパッチリした二重に長いまつげ。
スッとした鼻。
ぷっくりしたピンクの唇。
昔から憧れた“カワイイ”の要素を全部詰め込んだ女の子。
「この人あたしのカレで…お金…無くて………親ビョーキで…」
涙目で訴える彼女は女の私でも同情してしまう。
守ってあげたくなる、どこからみても“オンナノコ”の彼女。
『カレ』
ドクン
なんだ、そりゃいるよね。
ドクン
あの人かっこいいもん。
ドクン
おまけに彼女も可愛いし。
《運命》そんな風に思ったのがすごくバカらしい。
2人は手を繋いでいて、すごくお似合いのカップル。
やだ、見たくない。胸がキリキリ痛い。寒くもないのに震える。
そんな姿にヤンキーは財布を返し
「悪かった」
と一言いって、とぼとぼと去って行った。
その背中はさっきより小さく見えた。