a☆u★c-G2-!
放課後で人通りの無くなった廊下。
明衣、アリス、紗佳は逸識を睨み付けるように見上げていた。
当の本人は無言のまま、その目線を受け止めている。
不意に、アリスが頭を下げた。
「ごめん!」
姿勢よく“く”の字に曲がった彼女に、逸識はきょとりと目を丸くしている。構わずにアリスは続けた。
「いきなり助っ人頼んだりして、ごめんね!」
すると、逸識はふぅっと息を吐いて、いつものように悪戯っ子のような笑みを浮かべた。
「言う相手が違うんじゃないのか。俺は別に、謝られるようなことしてないしな」
「っっ…どうして!」
そこで叫んだのは紗佳だった。
「嫌なら嫌って言えば良かったのに!」
「まあ、それもそうだよな」
逸識は苦笑した。
「部外者に頭下げるなんて、したくなかった…」
紗佳は唇を噛み、俯いた。アリスの顔が悲痛なものになっていく。
「私だって、本当は嫌だったよ。ダンス部以外の人にお願いするなんて。でも…でも、こうするしか無かったの。大会に望みを繋げるには…。もう一回紗佳と大舞台で踊りたかったの」