a☆u★c-G2-!
気に入った服をいくつかキープしながらも、頭の中には常に五月女たちのことがちらついていた。人のデートを尾行するなど悪趣味極まりないことはわかっている。しかし、どうしても抑えられなかった。
お人好しでどこか情けない五月女の彼女。話には何度か聞いていたし、写真も見せてもらったこともある。
美少女研究部の面々も言っていたが、五月女には勿体無いくらい可愛い先輩だと思った。ぜひお近づきになりたいとすら思ってしまう。
もともと人と話すのは好きだ。女の子同士で恋愛トークで盛り上がったり、ファッションの話をしたい。
…ガサツであまりそう言ったこととは無縁に見えるのはわかっているが。
ぐるぐると暗い思考に陥りそうになっていたところで、映画館から二人が出てくる気配がした。(もちろん匂いで判断した)
急いで映画館に向かうと、不自然でない距離から二人の姿を伺う。
彼女の方が五月女の顔を見て吹き出した。
「やだ、亮祐酷い顔」
「俺、ホラー駄目なんですって!! 言ったじゃないですかぁ、もう…酷い…」
鼻を啜りながら情けない声を発している五月女。巡は、再び「ないな」と呟いた。