a☆u★c-G2-!



2人の様子を観察しようとベンチの一角に腰掛けようとした時だった。


「あれ? 巡じゃないか」

「っおぉ!?」


不意に背後から声をかけられ、女子とは思えない野太い声をあげながら振り向いた。視線の先には、専門店の紙袋をいくつかぶら下げた日野が立っていた。


「びっくりしたぁ…いきなり声かけないで下さいよ! 今いい所なんスから…」

「いい所? 本当に何してるんだお前…」

「良いから! サイボーグ野郎はお呼びじゃないんスよー!」

「なっ…何だその言いぐさは! 知り合いが居たら声を掛けるのは当然のことだろうが!」

「今五月女先輩のデートを尾行中で…っ、あ、言っちゃった」


ヒートアップする言い合いに、深く考えることなく巡は口を滑らせてしまった。後悔しても遅く、日野の眉間には更に皺が刻まれる。


「はぁ!? 悪趣味だろ。ストーカーだろそれ!」

「だって気になるんスもん!」

「確かにそうだが…」

「でしょ!?」


思わず同意を求め、何ならこのまま二人で五月女のデート追跡をしようかと誘ってしまおうかと巡は考えていた。

しかし、その目論みはあえなく潰えた。



「え…めぐちゃんと、日野君?」

「「あ」」


呆然とこちらを見つめる五月女と、不思議そうに小首を傾げる可愛い彼女さんと目が合う。
追跡どころか、対象に発見されてしまったのである。




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