a☆u★c-G2-!
エコは理科準備室の奥へといったん姿を消し、少しするとオレンジ色の液体が入ったビンを小脇に抱えて戻ってきた。
不思議そうにビンの中身を注視するメンバーに、エコはそれをちらつかせる。
「これ、私が前に作った試薬品なの。効果を確かめてなかったからちょうど良いわ」
「これが癖を和らげるやつ?」
横から明衣が尋ねると、エコは頷いた。
「そう。名付けて“マルクス”よ」
「激しく胡散臭いな」
日野は苦い顔で言う。エコはそんな彼を見て、
「あ、君が飲んだら良いんじゃない?サイボーグ風紀委員君」
「僕、そんな呼ばれ方してるんですか!?」
日野は思いもよらぬ呼び名を付けられていることに驚き、同時に少し傷付いた。サイボーグって……
「よし、日野くん。飲んでみて」
「……は?」
「飲めって言ってんスよ!」
「君は黙っててくれ!」
ずいっ、と目の前に突き付けられた怪しい液体。
日野は縋るようにエコに目を向けるが、彼女は「オレンジジュース味だから大丈夫よ」と見当違いのことを言ってくる。
仕方ない、と日野はビンの蓋を開け、喉に一気に流し込んだ。