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部室に戻り、ソファーに飛び込むように座った明衣は、五月女をじとりと睨み上げて、
「やっぱ癖とか習慣を無くすって、無理だと思うよ。生まれ持ったもんだし、それが長所に成り得るんだからさ」
「でも、悩んでるんだったら放って置けないよ…」
しゅん、とうなだれてしまう五月女に、巡が「何か大型犬みたいッスね」と笑う。
「もう良いですよ。だいたい癖を直すなんて、僕から頼んだわけじゃないんだし……」
日野が諦めたように言う。そこで、確かにそうだったと明衣は頷いた。
「これ、勝手に五月女が盛り上がってただけじゃん。日野から依頼されたわけじゃないし」
「………そういえば…」
五月女は一人舞い上がっていたことに恥ずかしくなり、俯いてしまった。
部員勧誘に焦るあまり、早とちりのようなことをしでかしてしまうとは。
しかし、二人のどことなく重い雰囲気は、巡の金切り声によって吹き飛んだ。
「早く出てけっつーの!依頼人じゃないんでしょ!?」
「君が爪と化粧を校則通りにするまで、僕はここを出るつもりはないぞ」
てこでも動かないつもりの日野は、巡を睨んだままソファーに居座っている。