a☆u★c-G2-!
始業式とはいえ、いつも通り夕方まで授業もあり、部活もある。
そのため、明衣と同じく部員の五月女良祐は、aucの部室へと自然に足が向かっていたのだった。
廊下を歩きながら、五月女がふと口を開いた。
「俺達、もう3年なんだね。早すぎて何だかびっくりっていうか、実感無いなー」
「進路活動とかめんどいしね。どーしよっかなぁ」
ほとんどぼやきに近いことを言いながら、部室のドアを開ける。
「…あ、そっか」
明衣は一歩教室に踏み出して、思い出したように一人ごちる。
自分たちが3年生ということは、以前の先輩たちは卒業したということだ。従って、いつも自分を出迎えてくれた彼女は居ない。
春休み中にも何度もこうして実感していたのに、まだ何処か抜け切れていない自分に、明衣は苦笑した。
「何か飲む?」
「コーヒー」
そう尋ねながら戸棚をいじる五月女に答えたのは、いつの間にか侵入していた顧問の楡沚だった。