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二階に設けられた、“生徒会室”と書いた板がぶらさがっている粗末なドアを開け、逸識と八重は中に足を踏み入れた。
「あっ、お帰り〜。あたし達もさっき終わったのよ」
それを出迎えたのは茶髪の活発そうな女子生徒で、その手には湯気を上らせたマグカップを2つ持っている。
逸識はカップを覗き込み、「モエ達もお疲れさん」と彼女――生徒会副会長・鮎川百笑(あゆかわ もえ)に労いの言葉を掛ける。
すると、一足先に席に着いていた短髪の目付きの鋭い男子生徒――生徒会副会長・五島宍道(ごしま しんじ)が、「ほんとですよ」とうんざりした声を上げた。
「小早川の奴が何でもかんでも潰そうとすっから、宥めるのに苦労しましたよ」
「だってあいつらウザイもん」
恨めしそうな視線を受けながら、生徒会書記・小早川一織(ごばやかわ いおり)はガムを膨らませてやる気の無さそうな態度で呟く。
そんな彼の周りには、飴やらガムやらクッキーが散らばっており、甘い匂いが充満している。
逸識はそんな彼を見て笑った。
「まぁまぁ。しまんちゅもオリゴ糖もありがとな。来週はちょっと大変だけど、頼んだぜ」
「了解っす」
「そのオリゴ糖ってやめてくんない」
小早川から非難が飛んだ。